2018年度―日本翻訳家協会の表彰式開く
2018年度の日本翻訳家協会の授賞式は10月19日夕、東京学士会館で開かれた。この日、南條郁子さんと共に、翻訳文化賞を受賞されたルマニエール氏(写真)は仕事で遠くロンドンに出張中で代って、原作者辻惟雄氏が出席された。式後のパーティーはビオラ奏者の植田晴美協会理事の演奏に始まり、翻訳特別賞の表彰作品『生きて帰った男 ある日本兵の戦争と戦後』の原作者小熊慶大教授の祝福に出席された国際文化会館理事長明石康氏(元国連事務次長)を始め出版社、編集者と受賞者のスピーチを聞きながら、ご家族、友人、協会スタッフを交えて和やかな交歓が続いた。

ルマニエールさんのロンドンからのメッセージ 
辻惟雄著『日本美術の歴史』英訳版への日本翻訳文化賞授賞に恐縮と信じ難い感謝の気持ちです。辻惟雄氏の大作翻訳は大いなる名誉と勉強と共に、著者の奥深い知識を意識しつつ行間を読み取る大作業でした。2005年初版から更に改定された著書翻訳は長い年月を要しその間の辻教授のご忍耐にも感謝しています。この英訳書の重要性を過小評価しないで下さい。日本の芸術と考古学を紹介するこれまでなかった本です。2万2千年前の日本前史時代に遡り、古い漆塗が縄文新石器時代に土器を飾っていたことなどかぎ穴状の巨大な墳墓に触れて考古学的新発見を紹介した辻先生は、最後に現代芸術史の諸運動のみならずマンガ、アニメ、さらには村上隆氏のスーパー・フラット(平面絵画)現代美術運動にまで論及しておられます。この書を読めば、日本の考古学的、宗教的遺跡、高尚な、そして卑俗な美術遺産が読者の前に分かり易く蘇ってきます。

「長銀国際ライブラリー」を惜しむ明石さん
英訳版‟Return from Siberia“は日本長期信用銀行が基金を創設し国際文化会館が受託して二十年、毎年二、三冊ずつ一流の翻訳家による訳で出版して四〇冊目の最後の図書。 受賞式に出席された明石康国際文化会館理事長は「協会がきちんと審査して翻訳者、出版社を表彰することは心強いこと」と述べ、 日本人のスケールが縮小しているように見える時代を憂いておられた。
(最前列の右端が明石さん)





2017年度 日本翻訳・出版人が絢爛、豪華に集う伝統のパーティー
 10月20日夕、2017年度の日本翻訳家協会の協会賞受賞式が東京学士会館で行われた。式終了後のパ--ティーは出版社と翻訳者、翻訳を読む人々が歓談する恒例のひと時。ITたけなわの時代、とくに今年は翻訳出版界の人々熱気溢れる雰囲気に浸りながら感慨一入であった。(写真は森本公誠東大寺長老)

―別人でないかって疑っておられる?私は正真正銘―アラビア語「イスラム帝国夜話」の翻訳者として受賞者挨拶に立たれたのは、法衣をまとわれた東大寺元別当(管長)の現長老、森本公誠氏。83歳とは思えない姿と声の張りである。森本長老はカイロ大学留学。30年前、母校の京都大学で教鞭を取られた当時のテキストを本職の激務のかたわら訳された。原作はアッバース朝末期に法官タヌーヒー(938~983)が書き遺したいわば社交界ゴシップ集。官吏の手記だからアラビアンナイト(千夜一夜)より真実味があって実に面白いし、森本長老の翻訳は日本語ことわざ用語も自由闊達に交えて読みやすい。本体はずっしりと重たい上下2巻の大著(岩波書店刊)である。本年度の翻訳賞作品もう一冊は、福田昇八訳「韻文訳 妖精の女王」上下巻(九大出版会刊)である。16世紀、イングランドの詩人エドマンド・スペンサーが当時のエリザベス一世女王に捧げた一大叙事詩だが、これも赤ビロード布地張りの超豪華本。いずれも手にするだけで心が豊かになったように感じる書物である。

 パーティーは当協会理事のビオラ奏者、植田はるみさんによる祝賀曲演奏で始まり、翻訳をめぐる興味深いお話がパーティーに移っても続いた。翻訳特別賞の南田みどり訳「ビルマ1946 独立前夜の物語」を出版した段々社社長坂井正子さんが語る南田さんのエピソード。「1988年に最初の本のことでお宅に電話したら子供さんが出て、『いまオッパイを飲ませているからダメ』といわれた。当時は今度の受賞作の著者であるテインペーミン氏の大作を翻訳中だったのです。最近は、『私は死ぬまでビルマ文学を研究したい。死ぬのが楽しみ。テインペーミンに逢っていろいろ聞きたいことがヤマほどある』と言われているのです」因みに段々社は女性一人で起こしたアジアの女性作品を手掛ける会社。 (写真は表彰者記念撮影)

「翻訳書の批評文化を育てよう」 受賞された年以外にも顔を見せて下さる早川書房早川浩社長が述べた乾杯の言葉―日本で遅れているのは批評文化。私の父が1945年早川書房を起こしたが、以来、米国の出版界との事情の違いを常に感じてきた。日本にはすぐ批評するのを躊躇する傾向がある。美しい日本語の翻訳文化は世界でも最先端。これに批評文化を加味することが大切である―に共感した。




2016年度 日本翻訳家協会 協会賞表彰式
過去一年に最も優れた翻訳と翻訳作品出版の業績を称える【日本翻訳家協会 協会賞】の表彰式を、10月21日(金)午後5時から東京学士会館(千代田区神田神保町)にて開催致しました。受賞者・受賞団体に協会より賞状、賞金、賞牌が贈呈されました。記念撮影の後、参会の翻訳家や出版社代表、編集者と受賞関係者、協会会員を交えた懇親会が行われました。

2015年度 日本翻訳家協会 協会賞表彰式
過去一年に最も優れた翻訳と翻訳作品出版の業績を称える【日本翻訳家協会 協会賞】の表彰式を、10月16日(金)午後1時から東京学士会館(千代田区神田神保町)にて開催致しました。協会から賞状、賞金、賞牌が贈呈されました。記念撮影の後、参会の翻訳家や出版社代表、編集者と受賞関係者、協会会員を交えた懇親会が、賑やかに和やかな雰囲気の中で行われました。

写真は前列中央に、翻訳賞の森一郎東北大学教授。左に出版賞の神崎茂治中央大学南甲倶楽部専務理事と橘宗吾名古屋大学出版会編集長。右に翻訳特別賞の故小笠原豊樹氏夫人幸子さんと伊藤昌輝氏(元ベネズエラ大使)。後方は翻訳者と協会関係者たち。


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